先日、ある社長と資金繰りミーティングをしていた時の話です。
繰上げ返済を銀行に相談した事例
この会社は、コロナ融資で3,000万を3年据置(3年間は利息のみ支払い)の条件で借りて、いよいよ返済がスタート。
借入残高は以下のとおり。
A銀行の借入残高
1,000万
B銀行の借入残高
3,000万(コロナ融資)
次は、今期は利益も出ていて、コロナ融資のおかげでキャッシュもたくさんあるから、A銀行の1,000万を繰上げ返済しようかと、A銀行に相談した時の会話です。
- 社長:
-
この1,000万を、繰上げ返済しようかと思っているんですが……。
- A銀行:
-
そうなんですね……。
できれば、繰上げ返済はやめて欲しいです。
- 社長:
-
うーん、でも利息がもったいないですからね~。
- A銀行:
-
そこをなんとかお願いします。
あっ、それでしたら、これはどうですか?
- 社長:
-
なんですか?
- A銀行:
-
今は利息も低いので、繰上げ返済しても得になる金額は少ないです。
せっかくなら、その分を資産運用してはどうですか?
- 社長:
-
どういうことですか?
- A銀行:
-
この商品で資産運用すれば、繰上げ返済で得する利息よりも運用で増える金額の方が多くなるかもしれないですよ。
- 社長:
-
そうなんですね。
- A銀行:
-
設計書をお作りしますので、一度ご検討ください!
こうして社長から相談があり、その設計書を見てみると、商品名が以下でした。
米ドル建て終身保険
1,000万一時払い
社長は「500万ならしようかなぁ」と言っていました。
判断の前にシミュレーションを
もしあなたが、この社長だったらどうしますか?
ベストな答えを出すために、資金繰り表でシミュレーションしてみました。
すると、今は資金繰りがいいが、返済スタート以降は、キャッシュが減るスピードが一気に爆上がり!
足元では月商6ヶ月分の預金があり、余裕だと思っていたけど、3年後には半分に減る試算……。
この3年間で運用した500万が増えればいいけど、もちろんそんな訳もないので、運用している場合ではありません!
銀行からの提案は鵜呑みにしてはダメです!
それに気づけたのも、先を見据える術を持っていたから。自分の身を自分で守る術を持ってたから。
安定した経営を続けるためにも、自分の身を自分で守る術をぜひ持って下さいね。